「赤ちゃんとプラスチック 〜便利さの裏側にある、ほんとうの安心〜」

私たちの暮らしには、プラスチックがあふれています。
とくに赤ちゃんが生まれてくると、哺乳瓶、おもちゃ、お風呂グッズ……あれもこれもプラスチック製品。軽くて扱いやすく、安価で手に入る便利さはたしかに魅力的です。


「この素材、本当に赤ちゃんにとって安心なのかな?」と思うことがあります。


50年前と今 育児の道具はどう変わった?

1970年代、赤ちゃんを迎える準備は、もっとずっとシンプルでした。
布おむつに綿の肌着、ガラス製の哺乳瓶や木のおもちゃ。家族の手で手縫いされたものや、兄姉のおさがりが多く、プラスチック製品はごく一部でした。

ところが今は、哺乳瓶も、お皿も、おもちゃも、収納も、ベビーバスまでもがプラスチック。ある推定では、育児用品のうち80〜90%がプラスチック製とも言われています。


プラスチックと人体への影響

最近では、プラスチックが細かく分解されて体内に入り込む「ナノプラスチック」や、PFAS(ピーファス)と呼ばれる「永遠に分解されない化学物質」の存在が注目されています。

海外の研究では、

  • 卵子や精液からナノプラスチックが検出された
  • 精巣や卵巣機能の低下を示す動物実験の結果
  • ホルモンに似た作用をもつ添加物が、体のバランスを乱す恐れ

などの報告があり、不妊やホルモン異常との関係が懸念されています。


日本ではあまり語られないリスク

日本では、欧米に比べて子ども向け製品への規制がまだまだ緩やかです。
PFASの規制も遅れており、おもちゃやベビー用品に関しても、ナノプラスチックや環境ホルモンの含有はほぼノーチェック。

知らず知らずのうちに、赤ちゃんがそれらを舐めたり、口に入れたりしているのです。


ワクチン接種の変化 〜50年前と今

赤ちゃんが受ける予防接種も、時代とともに大きく変わりました。

かつて(1970年代)は、主に4〜5種類程度のワクチンが、計10回前後接種されるだけでした。たとえば、BCG(結核)、三種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風)、ポリオ、麻疹(はしか)などが中心です。

ところが現在は、3歳までに受けるワクチンの種類は12〜14種類に増え、回数は30回を超えることもあります。ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタ、MR(水ぼうそう)、インフルエンザなど、多くのワクチンが「定期接種」として組み込まれています。

これは医学の進歩による成果でもありますが、乳幼児期からさまざまな異物を体に取り入れるという点で、体への影響や個体差への配慮も必要とされる時代になったとも言えるでしょう。


今、私たちにできること

完全にプラスチックを避けるのは難しくても、「できるだけ減らす」ことはできます。

たとえば…

  • 哺乳瓶はガラス製、お皿は陶器やステンレスに
  • おもちゃは木製や布製を選ぶ
  • プラスチック容器を電子レンジで使わない
  • 衣類は自然素材を選ぶ
  • 劣化したプラスチックは早めに交換する

ほんの少しの工夫で、赤ちゃんにとっても
大人にとっても心地よい環境が作れるかもしれません。


育児は情報にあふれていて、ときには「何が正しいの?」と迷うこともあります。

便利さの先にある「ほんとうの安心」──
私たち大人が日々の暮らしで選ぶ物がお店に増えていくのだろうなと思います。


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